白い月~夜明け前のその空に~
たかがニセカップルのシナリオ。
よかれと思って作った、噂を消すための違う嘘。
ここまで酷い結果を生むことになろうとは…、考えた当初は想像していなかっただろう。
「…本当にごめん」
「え、光は悪くないよ。ただの嘘なんだから。全部嘘なんだよ?私のことをかばう為の嘘でしょ。…はい、嘘でしたー、なんて撤回したらしたで、また厄介かもしんないけどね」
長澤と帰る中、空元気を振りまく優月。
金髪の髪を目立たせないように、タオルを頭に被せてどうにかしのぐ。
ホームルームもそれで乗り切った。
彼の方がダメージが大きいらしく、ずっと口数が少なかった。
「髪だって、すげー大事なもんじゃん。俺がやれらるぶんには全然かまわねーけど、お前が傷つけられるのは許せない。自分が招いたことだとはいえ……」
「まぁ、家の人にはさすがに何か言われるだろうな…」
陸に見られたら、烈火のごとく怒りそうなことを想像する。
「せめて、黒にしねーか?俺が染め直すから」
「ううん。いいよ、今日時間も時間だし、何とか誤魔化すから。気持ちだけもらっとく……」