白い月~夜明け前のその空に~
長澤にはそう言っておいたものの、やはり誤魔化すのは大変だった。
ドラッグストアーに寄り、黒色にするスプレーと黒髪戻しの染髪剤を購入。
コンビニのトイレで早速スプレーを振り掛けた。
一時しのぎにしか過ぎないけれど。
すぐ黒髪に戻すことは、2年女子に止められていたのだ。
頭髪検査にひっかかる時期を見計らい、優月が忠告を受けることを企んでいるらしい。
それと同時に、ようやくなくなってきた出回った噂を、またさらに広めようとしている。
黒髪に戻せば、すぐにでもネットで画像を拡散すると脅された。
そんなことは絶対されたくない優月は、言うことを聞くしかなかった。
スプレーで髪色は誤魔化せても、ボサボサに切られた髪の毛に、陸が気づかない訳がない。
帰宅した彼女を真っ先に指摘する。