白い月~夜明け前のその空に~
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授業が短縮だった陸は、午後からせっせとケーキ作りに励んでいた。
買い込んだ材料、自分で考えたレシピ。
全ては彼女の為に。
夕飯が済むと、ちょっと待っててと陸に言われ、居間に一人残される優月。
すると、彼女の前に陸はカップケーキを置いた。
「これ、何で?」
「約束したから。彼氏ができたお祝いにケーキ作るって」
「それで、わざわざ?」
「当たり前だろ?俺も嬉しいしさ」
嬉しい、その言葉は優月に棘のように刺さった。
(寂しいとか、言わないんだ…)
「ありがとう」
優月は顔の色を失くし、ケーキを口に入れる。
それは彼女の好きな甘いチョコケーキではなく、ほろ苦いチョコ味だった。
「…苦い」
ぼそっと呟く。