白い月~夜明け前のその空に~
「おう、このメンバーで行くの初めてだしな」
後藤も長澤も賛同するが、優月はハッとした顔をしてすぐに顔色を曇らせた。
そのほんの僅かな変化に長澤だけは気づいていた。
「あ…、ごめん。今日買い物頼まれてたんだ」
「ええ~、ゆづダメかー。どうする?」
「なら俺も…、パス」
里乃と後藤は同時にちらりと長澤を見やる。
そして今度はにやりと口の端を持ち上げる。
「うんうん。仕方ないね、四人で行くのはまた今度にしよっか」
「だな。今日は二人で行こうぜー」
優月と長澤はそんな二人のあからさまなやり取りを、不思議そうに見ていた。
帰り、バス停まで一緒に歩く中で、長澤は優月に気になっていたことをこぼした。
「前から思ってたけど、放課後いつも忙しそうだよな。部活もしてるし。ほとんど寄り道してないだろ?」
「そうかもしれないね」