白い月~夜明け前のその空に~
(何を、何を見た?…あれは、見間違いか?)
「ちょっと陸、ゆづはどう?まだいなかった?」
居間からおばあちゃんの心配そうな声が聞こえた。
「多分、もうすぐ帰ってくるよ」
その言葉通り、優月は間もなく帰宅した。
「もう、遅くなるならちゃんと連絡しなきゃ、心配したのよ。あら、手もこんなに冷たい。そろそろもっと暖かい格好しないと」
おばあちゃんは帰るなり優月の手を掴む。
「ごめんなさい。うっかりしてて」
「まったくう。陸も心配して近くまで迎えに行こうとしてたのよ、ね?」
優月はドキッとして陸の方をちらっと見る。
「門限がどうとか言わないけど、連絡くらいはしろよ」
それだけ言うと、陸は瞬がいる部屋へ行ったっきりだった。