白い月~夜明け前のその空に~
バクバクと心臓が早鐘を打つ。
とっさに飛びのいたが、その後音沙汰なし。
確かめるために、そーっと棚の方へにじり寄る。
(お願い!気のせいだよね?だよね?…だって、もう寒いし)
本棚と約30センチの距離になったその瞬間、
本棚の間から足のやたら長いクモがひょこっと顔を出す。
「ぎゃあーーーーーーーー!!!!」
家中、もしくは外にまで聞こえる程の悲鳴を上げる。
漫画は持ったまま、全速力で助けを求めに向かった先は陸。
「陸、陸陸陸っ!出た!出たあ~」
「んな、大声出すな、せっかく瞬が寝たんだから」
瞬に絵本読んでいた陸は小声で言う。
「ごめん…、だって、怖いんだもん」
いつになく情けない声で優月は身をちぢこめる。
呆れつつも彼女の部屋へすぐに向かう。
「どこだって?」
「本棚の後ろから出てきた」