白い月~夜明け前のその空に~


確かに陸の学校の制服だ。

里乃の興味あるものへの発見力の高さにはいつも驚くが、できれば今は発揮して欲しくなかったと密かに優月は思っていた。


「遠くからよく分かったねー」


「もっちろん!あの制服大人っぽくて結構好きなんだよねー。陸お兄さんが似合ってるってのもあるけど」


「ちょっと、今後藤がいないからってそれは…」


「いいじゃん、私にとっては恋愛対象というよりは憧れの存在なんだもん」


彼氏がいながらも、里乃は堂々とうきうきはしゃぐ。

後藤は学校を休んでいたためこの場にいなかったが、後藤の立場を考えると、すごい彼女を持ったなと優月は同情してしまった。


「また会いたいなー、ね!今度ゆづの家遊びに行きたい!」


「えっ…、そ、そうだね」


里乃の突然の発言につい顔が引きつってしまう優月。


「ん?なんか気乗りしない感じ?ゆづの家って、やっぱり…」


「ええええ?」


もしや子供のことを言い当てられてしまうのかと思い、里乃の出てくる言葉に息を呑む。


< 203 / 465 >

この作品をシェア

pagetop