白い月~夜明け前のその空に~
確かに陸の学校の制服だ。
里乃の興味あるものへの発見力の高さにはいつも驚くが、できれば今は発揮して欲しくなかったと密かに優月は思っていた。
「遠くからよく分かったねー」
「もっちろん!あの制服大人っぽくて結構好きなんだよねー。陸お兄さんが似合ってるってのもあるけど」
「ちょっと、今後藤がいないからってそれは…」
「いいじゃん、私にとっては恋愛対象というよりは憧れの存在なんだもん」
彼氏がいながらも、里乃は堂々とうきうきはしゃぐ。
後藤は学校を休んでいたためこの場にいなかったが、後藤の立場を考えると、すごい彼女を持ったなと優月は同情してしまった。
「また会いたいなー、ね!今度ゆづの家遊びに行きたい!」
「えっ…、そ、そうだね」
里乃の突然の発言につい顔が引きつってしまう優月。
「ん?なんか気乗りしない感じ?ゆづの家って、やっぱり…」
「ええええ?」
もしや子供のことを言い当てられてしまうのかと思い、里乃の出てくる言葉に息を呑む。