白い月~夜明け前のその空に~
「ゆづのいとこのイケメンお兄さんの話~」
「ああ、一緒に住んでるっていう、厳しい…」
「ただの頑固親父のような人だよ…」
あつあつの肉まんを息で必死に冷まし、優月は興味のない素振りをする。
「どこが親父なのー?あんな面倒見良さそうなお兄さん、まじ欲しい!口うるさいのだって、愛ゆえってやつじゃん」
「どこが…」
優月は肉まんを頬張りながらむくれる。
「ね、聞いて聞いて!陸お兄さんの文化祭行った時ね、パンケーキに…」
「里乃!その話はいいじゃん」
口の止まらない里乃に慌てて飛びつく優月。
「なにー?いいじゃん、あれくらい、バカゆづくらい」
「……もう」
諦めと呆れが半分づつ入ったため息を吐く。