白い月~夜明け前のその空に~
「あ、そういえば、おままごとも陸はよく付き合ってくれてたんだけど、役割分担が超細かいの!ペットの犬の散歩とかしつけは誰がするとか、そこは別にこだわんなくてよくない?絶対決めたがってたんだよね~、」
彼女の曇りがかっていた表情はどこへやらと言う程、陸の嫌味を言っている割にやけに楽しそうに話す。
長澤はたまに笑い声を漏らしながら話を聞いた。
自分が知りえない、好きな人の過去の話は興味深かくもあり、その場に自分がいられなかったことが少し悔しくもあった。
まるで彼氏の愚痴でも聞いているような気もしなくない。
そんなことを思ってしまう自分は、いとこの存在にヤキモチを焼いているのだろうかと、長澤はふと頭の片隅で悩んだ。
たかがいとこに嫉妬なんて自分の小ささに呆れる。
けれど、ひょっとしたら、ずっと気にかかっている彼女の抱える、見えない“何か”と関係しているのかもしれないと、何気なく思った。