白い月~夜明け前のその空に~
近くのファーストフードで昼食を済ませると、優月は馴染み親しんだ公園のベンチに座り、目の前ではしゃぎ回る子供達を眺めながら育ってきた時間を振り返った。
一番最初にできた友達の紗葉(さよ)とは、砂場で別々に遊んでいた時に、「お城」を一緒作ったのが友達になったきっかけだった。
虫が嫌いな優月を陸に代わって退治してくれるようになったのも、負けん気も正義感も強い紗葉だった。
それから小学校でさらに交友関係が広がり、同じ学区内の子はほとんどこの公園が遊びの場で、学校の帰りに寄っていくこともしょっちゅうだった。
ケンカして仲間はずれになった時、ジャングルジムのてっぺんで、夕方一人こっそり泣いたこともあった。
紗葉の好きな子の話を初めて聞いたのもこの場所。
裸足になって小さな噴水に足を浸しながら、恋の話にドキドキした中学1年の夏。
引っ越すことが決まった時も、出発当日ギリギリまでこの場所で語り合っていた。