白い月~夜明け前のその空に~
今もメールのやりとりはしているが、だんだんその回数も減っている。
今日帰ってきているとは知らせていない。
聞こえてくる子供の声の中に、小さい頃の自分達の声も混じって聞こえる気がした。
風が冷たくなったのを感じマフラーを巻き直し、次に足を向かわせたのは、父と母と三人でよく来た科学館。
父が星が好きなこともあり、プラネタリウムも1年に5、6回は来ていた。
そのお陰ですっかり優月も星座に詳しくなっていた。
今日も休日とあって、家族連れで賑わっている。
その中でお一人様の優月はやけに目立ってはいたが、来た当初から勤めている解説員のおじさんと顔馴染みであるため、すぐに彼女に気づくと、声をかけてくれた。
中学に入ってからは家族で来ることもなくなり、最後に見たのは11歳の時。
すごく大きく見えたドームも、今では少し小さく感じた。
幾度となく見てきた投影を、懐かしみながら観賞した。
でもいつも両隣にいた父と母を思い出すと、さすがに寂しさで溢れ返った。