白い月~夜明け前のその空に~
偶然里乃と後藤と長澤も店に来ていて、誰よりも先に陸の存在に気づいたのは里乃だった。
「ちょっと、私挨拶しに行ってくるね!」
「え、まじで?」
「…あの人が陸さん、か。俺も行ってこようかな」
「おお、おい、置いてくなよ~」
里乃と長澤の後を後藤は戸惑いながら付いていく。
「こんにちはー!」
「あっ、…ゆづと文化祭の時に来てた、辻井さんだっけ」
「はい!お久しぶりでーす。覚えてくれてて光栄です!今日は陸お兄さん一人で買い物に来てたんですかー、ゆづも一緒じゃないんですねー」
里乃は遠慮もなく陸の隣に行き、今日が2回目の対面とは思えない程親しげに話す。
あまりにも近い距離感で話す里乃に、後藤は少しむっとした。