白い月~夜明け前のその空に~
「陸さんとの小さい頃の思い出話、すっごく楽しそうに話してましたよ」
里乃達の元へ戻る前、嫌味というよりも助言らしく聞こえることを残していった彼に、これまたドキッとした陸だが、それは彼なりのアドバイスだと察する。
恐らくケンカ中だとついた嘘も、自分と優月のことをすり替えたものらしい。
敵に塩を送るようなこと言ってのけた彼のお陰か、三人と別れた後、陸は一人心を鎮めながら新たな決意を固めた。
(まずは早く、仲直りしないとな…)
事実を知り、ガラガラと崩れた心の中の名前の知れない色んな思い。
散らばった欠片の中から、ほのかに明かりが灯った欠片達が、再び繋がろうとしていた。
夕飯の支度をしてる傍らで、嘘をついて出かけている優月のことを陸は気にしていた。
(せめて、ちゃんと時間だけは守って帰ってきてほしいけど…)
ちらっと時計に目をやると、6時を数分回っていた。