白い月~夜明け前のその空に~
敵対していた森の国と姫の国は、永遠の親愛なる国として新しく生まれ変わった。 】
という物語。
もしこのお伽話のお姫様を、自分に例えた時、恋に落ちる王子様は陸がいいと、優月は無邪気に幻想を抱いていた。
恋なのか、憧れなのか、はっきり分からないその狭間で。
当時、一番近くにいた男の子が陸で、引っ越ししてそれがクラスの男の子に変わった。
環境が変わり恋の対象も広がれば、自然と誰かを好きになって、陸のことも忘れるものだと思っていた。
あのお伽話のことも。
でも実際そんなことはなく、陸がどうしてるのかさえ分からないまま、時間だけが過ぎていく度、忘れるどころか、気になって仕方なかった。
そして気付けば、15歳になっていた。
自分でもまさかこの歳になるまで、幼い頃抱いた曖昧な気持ちを持ち続けるなんて思いもしなかった。