白い月~夜明け前のその空に~
熱は下がったものの、まだ大分体にだるさを感じる優月。
そんな中で、昨日はあのまま眠ってしまったけれど、改めて陸の言葉を思い出していた。
電車の車窓から朝日がキラキラと眩しく差し込むのを見て、目を細めながら…。
『焼きもち焼いてた
ゆづに彼氏ができたことが、マジでショックだった
できてほしくなかったんだよな、本当は
ゆづの顔見れて安心した
彼氏が嘘だったってことも』
どれも、陸の口から言ったなんて信じられない程。
思わず優月はちらりと隣の陸を盗み見てしまった。
彼は腕を組み、眠っているのか目は閉じていた。
寝顔なんて初めて見るわけでもないのに、優月はやたら胸の奥がキュッとしめつけられるのを感じていた。
そんな彼女が陸の言葉で一番驚いたのは、全部がバレてしまったことだった。
『もう誤魔化さなくていい、嘘つかなくていい…』
長澤から全て聞いたと、陸は言った。