白い月~夜明け前のその空に~
こんなにまで事を大きくしてしまったのだ。
あげく、一番巻き込みたくない陸まで巻き込み…。
もう何かを誤魔化しても、いい結果はない。
(ひょっとしたら、長澤は私の隠してる気持ちに気づいてるのかもしれない…。だから、直接陸に…。でも、まだ、そのことまでは…)
彼がそんなことするはずがない。
明白な答えもまだ出していないのに、長澤が陸に話すことはないはずだと、自分に言い聞かせる。
そもそも、いくらチャラ男でも、見た目とは裏腹で人情ある優しい人だってことを、よく分かったのだから。
それでも、いつかは気づかれてしまうだろう。
危うい隠したモノ…、自分の本当の気持ち。
その自分の気持ちが周囲に気づかれるより前に、自分から鍵を開け、解き放ちたいと優月は思った。
陸に大事な人の存在がいるとしても、生涯守りたい子がいるとしても、誰かを通じて気づかれてしまうより、その方がずっといいと…。