白い月~夜明け前のその空に~

こんなにまで事を大きくしてしまったのだ。


あげく、一番巻き込みたくない陸まで巻き込み…。




もう何かを誤魔化しても、いい結果はない。



(ひょっとしたら、長澤は私の隠してる気持ちに気づいてるのかもしれない…。だから、直接陸に…。でも、まだ、そのことまでは…)



彼がそんなことするはずがない。

明白な答えもまだ出していないのに、長澤が陸に話すことはないはずだと、自分に言い聞かせる。


そもそも、いくらチャラ男でも、見た目とは裏腹で人情ある優しい人だってことを、よく分かったのだから。



それでも、いつかは気づかれてしまうだろう。


危うい隠したモノ…、自分の本当の気持ち。



その自分の気持ちが周囲に気づかれるより前に、自分から鍵を開け、解き放ちたいと優月は思った。




陸に大事な人の存在がいるとしても、生涯守りたい子がいるとしても、誰かを通じて気づかれてしまうより、その方がずっといいと…。







< 254 / 465 >

この作品をシェア

pagetop