白い月~夜明け前のその空に~
「ちゃんと謝ってなかったから」
「いいって。病人相手にガミガミ怒る程鬼じゃねーよ。それに、謝るなら俺の方だよ。…お前、学校で噂になってたんだよな。俺と瞬といる写真が出回って。何も知らなくて気づけなくて、本当ごめんな」
「陸は、悪くない。何も悪いことしてないよ」
「いや、ゆづに嘘つかせるようなことしたのも俺だよ。色々考えて、誰にも何も言わずにいたんだろ?」
「……」
水面に反射した光は無邪気に煌き、優月が言葉を失くしたと同時に、窓から遠ざかっていった。
「……守ろうとしてくれたんだよな?うちのこと。……ありがとうな」
優月は陸の言葉一つ一つに、胸が軋んだ。
崩れさった嘘達がガラスの破片となって散らばり、風がそれを胸へと運ぶように。
優月は下唇を噛みながら首を振った。