白い月~夜明け前のその空に~


「ちゃんと謝ってなかったから」


「いいって。病人相手にガミガミ怒る程鬼じゃねーよ。それに、謝るなら俺の方だよ。…お前、学校で噂になってたんだよな。俺と瞬といる写真が出回って。何も知らなくて気づけなくて、本当ごめんな」


「陸は、悪くない。何も悪いことしてないよ」


「いや、ゆづに嘘つかせるようなことしたのも俺だよ。色々考えて、誰にも何も言わずにいたんだろ?」


「……」


水面に反射した光は無邪気に煌き、優月が言葉を失くしたと同時に、窓から遠ざかっていった。


「……守ろうとしてくれたんだよな?うちのこと。……ありがとうな」




優月は陸の言葉一つ一つに、胸が軋んだ。

崩れさった嘘達がガラスの破片となって散らばり、風がそれを胸へと運ぶように。



優月は下唇を噛みながら首を振った。


< 256 / 465 >

この作品をシェア

pagetop