白い月~夜明け前のその空に~


「はは…で、どこでつまづいてんだ?」


陸は優月の机に移動し、今さっきまで彼女が枕と化していたノートを見る。



「あ…、なるほどね」

彼の想像した通りの、亀の歩み並みの勉強っぷりに、やれやれと呟く。




夜食を食べ終えた後、優月は早速陸に勉強を教えてもらうことに。






時々手厳しいことも言う陸だが、優月に理解しやすい言葉を選んで説明していく。



「…だいたいこのパターンを掴めばいけると思う。で、分からなくなったら、すぐどうしようって、なるだろ?焦る前に、まず一呼吸置いて、一つ一つ公式をあてはめていく。何より焦りが混乱させる元だからな」


「うん。分かった。焦りそうになったら、陸の作ってくれたうどん思い出すね。だって、すごいほっとしてやる気も出たし。……あっ」



横で教えていた陸に、ふっと振り向くと、案外近い距離に彼の顔があり、優月はビクンと緊張が走る。

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