白い月~夜明け前のその空に~
まだ少女のようで、少し大人っぽくなりつつもある優月を傍で実感しながらも、その度に陸は胸を締め付けられるのを感じていた。
それは彼女への気持ちが大きくなるのと同じことだった。
もっと近づきたい、その思いは言葉にせずとも、二人にだけ流れる風がそっと導いていく。
伏目になった優月を見下ろすと、手に取っていた髪に自分の顔を寄せ、初めて知る髪の香りを嗅ぐ。
さっきから硬直しっぱなしの優月ははただただ、陸の予想もしない行動に、言葉も失くし、熱と早鐘に耐えるのがいっぱいいっぱいだった。
そうとも知らずに、陸はどんどん彼女に近づき…。
彼女の前髪にそっと口付けをし、顔を覗き込むと、今にもショート寸前な頬を赤らめポカン顔の彼女の顔に、ぷっと噴き出していた。
「………うどんなんか思い出してどうすんだよ。ほんっとバカだな」
バカ、というワードがスイッチかのように、我に返る優月。