白い月~夜明け前のその空に~
優月に触れる度、あの空気が流れる度、純粋に近づきたい、自分の思いを伝えて彼女の思いも直接感じたいと、強く激しく思うようになっていた。
何もかも忘れ、ただまっすぐ彼女の事だけを考えるなら、髪に触れるだけでは満たされるはずがない。
陸はその事を最近は特に実感していた。
けれど、どうしたって付いて回る。
自分が普通の高校生ではない事。
幸せを感じることも、後に罪悪感が襲うのだ。
全部受け止める覚悟はしていた。
そう、してきたはずだった。
輝かしい眩い光を知って、永遠の優しい強さを知ったあの日から。
陸は、心が揺れていた。
二人にしか開けることも持つこともできない合鍵。
その鍵を持つその手も、微かに震えるように……。