白い月~夜明け前のその空に~
硝子の時間…
編み物とテスト勉強の両立を乗り越え、ようやくテスト週間が終わり、いよいよ明日はクリスマスイブ。
待ちに待ったプレゼントを渡せる日だ。
もうきちんとラッピングも済ませてあり、今はこっそりと部屋の押入れに隠している。
サプライズに心が弾むのを抑えきれず、何をしていてもつい顔が緩んでしまう程だ。
そんな優月を里乃はからかってはいたが、その話題とは別に、ふいに休み時間、彼女に尋ねることがあった。
「ねぇ、来年卒業でしょ?陸お兄さんて」
「そうだよ?何?」
お弁当を片付けながら里乃の方を向くと、きらりんと輝く彼女の瞳と目が合う。
優月が嘘をついて出かけたあの一件で、散々緊迫した空気を作っておきながら、単なる優月の“みえ”だという真相に、穴があったら入りたいとしばらく恥じていた里乃だが、最近ではすっかり以前の調子を取り戻していた。
陸関係の話題の時は、いつだってウキウキだ。
真相はもちろん彼女の“仮”ではあるが。