白い月~夜明け前のその空に~
「進路って、どうなの?やっぱり名門大学に進学?」
「えっ、………知らない」
振られた話題は全く自分の頭にない事で、優月はポカンと驚きの表情を浮かべた。
―――コンッ
その反応に里乃はさらに驚き、閉めようとしたペットボトルの蓋を床に落とす始末。
「……はい、大丈夫?」
蓋を拾い上げ里乃に渡す。
「う、うん。ありがと。って、ゆづ本当に何も聞いてないの?一緒に住んでいながら」
ペットボトルの蓋を閉め直すと、ドンと机に置いて険しい表情で身を乗り出す。
「そう、だね。聞いてない」
「はぁ~、まじか。陸お兄さんなら、びしっと真面目なキャンパスライフ絵になるんだろうなーって思ってさ」
「はは、里乃ひょっとして陸と同じ大学行きたいとか?」
「んー、ちょっとは思うよね。どう考えてもありえないけどさっ」
予想外の返答に分かりやすく肩を落とした里乃は、ため息を吐きながら携帯をいじる。