白い月~夜明け前のその空に~
二人に流れる秘密の空気。
言葉なんていらなくなる程、傍にいるだけで満たされる感覚。
その感覚に溺れそうになっていきそうな自分もいることに、気づき始めてもいた。
けれどそれが互いの知らない過去から、目を背け続けている要因にも繋がっていることだと、素直には認めなかった。
一度知ってしまった、甘く優しい温度や心は、壊れることを恐れるのだろう。
全てが無になるというより、元通りになることが一生ない、破壊を。
その可能性を秘めているからこその否認だ。
彼女達は、純粋無垢さの裏側で影を潜める、危うい儚さに飲み込まれそうになり始めていた。
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「メリークリスマス!!」
優月、陸がそれを合図にクラッカーを鳴らす。
突然の音に瞬は驚いたものの、すぐに手を叩いて笑った。