白い月~夜明け前のその空に~
それぞれにプレゼントを渡すと、おじいちゃんもおばあちゃんも早速身につけ始め、瞬に帽子を被せてあげている陸までも、ちゃっかり首にネックウォーマーを巻いていて、さすが家族だなと、優月は照れくさくもほのぼのした気持ちになった。
「瞬、お礼は何て言うんだっけ」
「あいがとー、ゆぢゅう」
陸に聞かれ、覚えたての感謝の言葉を発する瞬を、彼女はどうしようもなく愛おしく感じた。
瞬はぴょんと優月の膝の上に座り、無邪気に卓袱台のケーキに手を伸ばした。
「待てって、今取ってやるから」
陸が小皿に小さく切ったケーキを取り分ける。
この何気ない些細な光景が、嬉しくて、ただ嬉しくて幸せで、優月は胸がいっぱいになり、思わず瞬をぎゅうっと抱きしめていた。
「ゆぢゅう~どうたの?ポンポン痛いの?」
心配そうな幼な声に、余計に目頭まで熱くなった。