白い月~夜明け前のその空に~
購入したい物を全部カゴに入れたことを確認し、会計を済ませようとレジに並ぶと、レジ脇でハッと思い出したように手に取ったのは貼るカイロだった。
おばあちゃんがカイロも切らしていたことを、レジ脇の棚を見て思い出したのだ。
(あ~よかった、側にあって)
スーパーを出て時間を確認すると3時前。
(少しだけ…、寄ってってもいいよね)
ふと思いつき、彼女が向かったのはバス停ではなく、ビル内に入っている雑貨屋。
優月がこれまでおしゃれに気を遣うことはほとんどなかった。
文化祭の時に一度懲りてから余計にだ。
それが、最近では全く興味のなかったアクセサリーまでも気になっていた。
棚に並べられたネックレス。
その中の一つを手に取り眺める。
小さな鍵がモチーフで、一つだけついたストーンは小さいながらも、さりげない存在感を与えながら輝いた。