白い月~夜明け前のその空に~
本当の親子を目の当たりにし、さっきまでそう見られていたことが罪悪感となり、優月は何となく微笑み合う彼らを直視できなかった。
遊び相手を陸と代わり、おばあちゃん達とベンチに腰かける。
瞬はとても愛想がいい。
目が合えば動物でも人でも、それが電車や飛行機でも、笑顔で手を振る。
知らない人でも平気で抱っこを受け入れる。
それくらい人懐っこく愛嬌がある。
たまたま一緒に住んでいるだけで、特別自分に懐いているわけではない。
そう彼女は思い、改めて本当の親である陸に見せる、瞬の態度や表情に、自分との違いを感じた。
最近は特に強く。
陸の服の裾をぎゅうっと握ったままだとか、おぼつかない言葉も彼の前では沢山しゃべろうとする。
それに、彼の姿がしばらく見えないと、キョロキョロと不安げな顔で探そうとするのだ。
それでも決して泣き出すことはなかった。