白い月~夜明け前のその空に~


『やっぱり』本当の親を分かっている。




それは仕方のないことでも、瞬が成長していく過程での小さな変化が、優月にとっては喜びであり、無関係の存在であるという現実を突きつけられるようで切なくもあった。





愛情はどんどん増していくのに。







ぼうっと陸と瞬を眺めていた彼女をおばあちゃんが気にかける。



「ゆづちゃん、瞬ちゃんと遊んでパワー使い果たしちゃった?」


「え?ううん。遊ぶのはもう慣れっこだよ。でもちょっとお腹減っちゃったかも」


「そういや、あっちでたい焼き売ってたなぁ。よし、じーちゃんが買いに行ってこよう」


「あ、いいよ。私行ってくる。じーちゃんばーちゃんも食べる?」


「じゃあ、じーちゃんも食べようかな」


「分かった。じゃ行ってくるね」




その場から逃げるようにして足早に店に向かった。













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