白い月~夜明け前のその空に~
心臓が早鐘を打つ。
自分の隠している気持ちを悟られるんじゃないか、そう思って。
きっと、おばあちゃん達が自分に思い描く気持ちと本当の気持ちは遥かに違う。
そしてもっとも気づかれたくない存在。
気づかれてはいけない。
絶対に。
「ゆづー」
たい焼きの店で順番待ちをしていると、後ろから自分の名前を呼ぶ声がした。
「陸っ?」
「俺も食いたかったからさ」
ツカツカやってくるなり優月の横にちゃっかり並ぶ。
「え、携帯で連絡してくれたらよかったのに。陸の分も買ってくし。別にわざわざ…」
きょとんと、不思議そうな顔で見つめる陸。