白い月~夜明け前のその空に~
「こっちにもまだ雪残ってるよー!」
「本当だー、いっぱい持ってこうぜっ」
元気な声と共に駆け寄ってきた、ランドセルを背負った男の子二人組みが、雪をかき集めて大きな団子を作り始めた。
その形から察するに、雪だるまを作りたいのだろう。
自分の顔の倍くらいあろうかとする程の雪の塊を、一生懸命に持ち、よろめきながらまた駆け出して行く。
すると、端で見ていた優月にぶつかりそうになり…
「わああっ、びっくりしたー!」
「だ、大丈夫?重そうだね」
彼女に声をかけられたのが、そんなに予想外なのか、目も口も大きく開き、また手元がふらつく。
「大丈夫だもん!」
途端に得意気にそう言うと凛々しい顔になり、再び走っていった。