白い月~夜明け前のその空に~
時間にしたら短かったかもしれない。
それでもここで共に過ごした時間はとても充実していたように思う。
その反動のせいなのか、単に寒いせいなのか、それともやっぱり、クラスメイト達のように卒業が近い心境のせいなのか、一人でベンチに座って空をただ眺めていることが、とても心もとない気がした。
本心を隠そうとする彼女を、どうにかして解き放したいと思って接してきた。
けれど、実は知らず知らずの内に、彼女に重ね合わせていた存在があった。
青空がよく似合う、いつも笑顔を欠かさない、大好きだった恋人。
一人になることはとても簡単だ。
群れることはそれなりに難しい。
この場所は本当は居てもいい場所ではない。
居心地の良さを求めていたが、実は逃げていただけなのかもしれない。
今更ながら、自分の根底にある弱さを実感する。