白い月~夜明け前のその空に~
解決しようと相手に一生懸命だったくせに、自分のことは手つかず。
まさしく自分のことは棚に上げていたのだ。
小柳にだって守りたいものがあったように、自分にだって譲れない守りたいものがある。
本当の意味で、この中庭から卒業しなくてはいけない気がした。
本当に大事な事。
目を逸らさずに、向き合えるだろうか……。
まだ今の彼は目を細めながら、ぼんやりと遠くの空を見つめることしかできなかった。
あの面影を青空に浮かべて……。
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小柳はあれから一度もベンチに向かおうとはしなかった。
いつものくせで、つい中庭へと続く通路を通ってしまうも途中で引き返した。
一緒に過ごしてきた友人とも、自ら距離を置き、輪に入っていくことを辞めた。