白い月~夜明け前のその空に~
独りになることをずっと恐れ、無理してまで友人の中に入っていた。
結局それが引き金で悪循環へと繋がってしまったのだ。
もう時間は無い。
取り返しのつかないことをしてしまった。
それでも、頑なに必死に誤魔化してきた自分を、さらに頑なに真剣に心配してくれた人がいた。
何も行動しないでいるのは、あまりに申し訳ない。
親身になってくれたそんな彼は、“独り”を恐れる自分とは反対に、いつだってまるで望んだように独りきりでいた。
それがとても不思議だった。
賑やかな教室で一人諦めたような、でもどこか寂しそうな憂いを帯びた表情で、頬杖をつきながら窓の外を眺めていた彼。
どこを見つめているのかよく分からないが、ただ一際大人びて見え、ドキッとした。
まさかそんな彼と自分が親しくなれる日が来るなんて、同じクラスになった春には思いもしなかった。