白い月~夜明け前のその空に~


独りになることをずっと恐れ、無理してまで友人の中に入っていた。

結局それが引き金で悪循環へと繋がってしまったのだ。



もう時間は無い。


取り返しのつかないことをしてしまった。





それでも、頑なに必死に誤魔化してきた自分を、さらに頑なに真剣に心配してくれた人がいた。



何も行動しないでいるのは、あまりに申し訳ない。







親身になってくれたそんな彼は、“独り”を恐れる自分とは反対に、いつだってまるで望んだように独りきりでいた。


それがとても不思議だった。



賑やかな教室で一人諦めたような、でもどこか寂しそうな憂いを帯びた表情で、頬杖をつきながら窓の外を眺めていた彼。



どこを見つめているのかよく分からないが、ただ一際大人びて見え、ドキッとした。






まさかそんな彼と自分が親しくなれる日が来るなんて、同じクラスになった春には思いもしなかった。









< 359 / 465 >

この作品をシェア

pagetop