白い月~夜明け前のその空に~
待っている間は決して長くはなかったが、そわそわと妙に落ち着かなかった。
それにほんの少しだけ胸騒ぎもして。
けれど、その予兆は気のせいなどではなかった。
戻ってきた仁科から受け取り、開く手帳。
数ページに渡って、部員達で撮ったというプリクラが沢山張られていた。
その中に、桐谷みなみもいた。
優月は一目見ただけで、彼女だと分かった。
一度も会ったことがないはずなのに。
桐谷は、色が白くとても華奢で、茶色がかった長い髪が少し大人びて見えた。
その中でぷっくり膨らんだ頬に、丸い瞳が可愛らしさを纏っていた。
みんなとともに笑顔全開。
そんな元気な彼女の姿を見て、会ったことがないからか、亡くなっていることが信じられなかった。
写っている時は、今の優月と同い年。
自分の歳で出産なんて、とても考えられなかった。