白い月~夜明け前のその空に~
(こんなに笑って。本当に仲良かったんだなぁ……。)
ふと、どうしても初めて見る顔に思えない理由に、一つ考えが浮かぶ。
悩む時間は必要なかった。
……ぷっくり膨らんだ頬に真ん丸の瞳。
そんな彼女とそっくりな面影を、身近で知っていたから。
彼女、桐谷みなみは、相園瞬とよく似ていたのだ。
他人の空似なんてよくある話。
けれど、とっさの時間の計算といえど、こんなにも産まれた時期と出産した時期が重なることがあるだろうか……。
瞬は2歳で、産みの親の存在は不明。
桐谷みなみは2年前に出産し、亡くなっている。
考えれば考える程、心臓は速くなり、周りの音さえ遮り聞こえづらくなっていく。
「……ね、ゆづこ?どした?」
「え、あ、はい。すごいかわいい方だったんですね。ありがとうございます」
我に返って優月は慌てて手帳を仁科に返す。