白い月~夜明け前のその空に~
相園家に、自分は要らない存在になってしまうんじゃないか、そんな思いが彼女の心を冷たく覆っていく。
そしてその思いは次第に、『相園家にいてはいけない』という思いに変化していくのだった。
しばらくしてあの家族の母親も戻り、先ほどの子供を連れ出した父親も戻ると、子供が時折優月達の方を振り返っては興味深そうに見てきた。
「にいいいいい」
すかさず優月が変顔をして見せると、子供はにこにこっと笑った。
「ははは、かわいいね。てかゆづ、子供あやすの得意なんだ?」
「えっ、まあ。親戚に小さい子いるしね」
それから優月達に軽く会釈して家族は店を後にした。
仲良く店を出ていく姿は、本当に和やかで、素直に微笑ましいと思った。
色々気になること、悩むことは沢山あるけれど、今すぐに結論を出せるものでもなかった。