白い月~夜明け前のその空に~
瞬の母親の可能性がある、一人の女性。
“桐谷 みなみ”。
まだ証明された訳ではないが、限りなく真実に近い彼女の存在を知ってから、優月の中でも大きな存在となっていた。
真実を確かめるのは、とても簡単な事。
でもたったその行動で、全てが崩れ去っていくことがの方が怖くて行動に移せないでいた。
自分の中の感情も全部、変わってしまいそうで……。
そんなありとあらゆる不安を抱えながらも、日常は規則正しく過ぎていく。
里乃達と一緒に居る時も、優月はいたって普通に接していたが、彼女はずっと必死だった。
だからみんなで大笑いした後、副作用のように後から来る虚無感に耐え兼ね、放課後は色々理由をつけては一人で帰っていた。
家に帰るのにもその方が効果的だった。
重い気持ちのまま帰ったら、また酷い態度をしてしまいかねなかったから。