白い月~夜明け前のその空に~



彼の言葉をじっと待っていると降ってきたのは、彼の大きな手だった。




ポフッと優しく優月の頭に手を置き、軽く撫でると、


「何があったかは詳しく聞くかねぇけど、大丈夫だって」

そう言い、優月はにっこり微笑む彼と目が合った。



手を離すとまた横向きになり、自分の頭を掻くと彼は言葉を続けた。


「家族にこだわらなくてもいいじゃん。なんつーか、好きだから一緒にいたい。それだけで十分じゃん。てか、そこ一番大事っしょ。君達仲いいじゃん、なんだかんだ言って。大丈夫だよ。それにさ、家族なんて知らないうちになってくもんじゃねぇ?って、俺まだ家族持ったことないけどさー」



随分軽いノリで話す彼だけど、真剣で嘘のない優しい気持ちがしっかり伝わってくるのが分かった。

ギリギリ堪えていた涙が、優月に再びこみ上げる。



「なんだったら…、俺がいるんだし。俺と家族になっちゃってもいいんだぜっ!」


「っぷ。何言ってんの……。バッカじゃん」


突拍子もない発言におかしくて、思わず僅かに零れた涙を優月は笑いながらぬぐう。

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