白い月~夜明け前のその空に~
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バイトを終え、陸が休憩室に入ると洋平がシフト表を睨みながら見ていた。
「お疲れ様です。どうしました?変更したい日あるとか」
陸は洋平の向かい側の椅子に座る。
「ああ、ライブ急に決まってさ。わりと知名度あるライブハウスなんだけど、うっかりしてて、その日バイト入ってたんだよなぁ」
彼はバイトの傍らバンド活動をしている。
眉間に深い皺を寄せた洋平は頭を抱え込む。
「まじですか。……よかったら、俺入りますよ。免許も取り終えたし、時間余裕ありますから」
シフト表を覗きながら陸は言う。
「ぞの!!!お前ってやつは…、助かっ」
一気に顔色が華やぎ、ガシッと陸の両肩を掴んだかと思うと、風船がしぼむようにへなへなと力なく手を離す。
「いや、いいよ。今回は縁が無かったってことで。そもそもさ、知り合いのつてもあったし。自分達で売り込まないとな」
そう言って開き直ると腕のストレッチを始めた。