白い月~夜明け前のその空に~
コーヒーを淹れに洋平は一度席を立つ。
「そうか……。これからどんどん色んなこと覚えていくんだろうし。感情だってはっきりしてくるだろうしな」
「そろそろ向き合う時期なのかなって思ってます。家族として、共に暮らしていくには、やっぱり話しておかなきゃいけないことなんで。彼女には、いつかは話そうって思ってたんですけど…、実際躊躇ってる自分がいて」
顔色を沈める陸の前にカップを置き、洋平は目を閉じながらその場でコーヒーを飲む。
「……そう焦ることもないだろ。ゆっくりいけよ。そうだ、今度みんな連れてこいよ。その、“ゆづきちゃん”にはまだ会ったことねぇしな」
その言葉と共に彼の暖かい眼差しは、陸に安堵感を与えた。
「はい。多分、洋平さんを見たらびっくりするかと思いますけど」
「おい、それどういう意味だよ」
「いい意味でです。ふふ」
「ったくー」