白い月~夜明け前のその空に~
「高学年くらいだったかな、お母さんとお父さんの仲がね、悪くなりだしたんだ……。
元からお父さん、気に食わないことあるとすぐカッとなるとこあって、お母さんも分かっててずっと我慢してたんだけど、もういい加減愛想つきたって。
話さなくなっちゃって。
お父さんも『行ってきます』とか『ただいま』すらも言わなくなっていったんだよね。
暴力とまではいかなかったけど、私そのお父さんの怒る姿とか大っ嫌いで怖くて、お母さんの味方してた。
でも、本当は小さい頃のように仲良く三人でいたかった。
よくね、家族三人でプラネタリウム観に行ってたんだ。
また家族で行ける日が来たらいいなって、密かに思ってた。
で、何か方法ないかなって、思いついたのが裁縫で…。
母の日、父の日、二人の誕生日、結婚記念日、毎年手作りで洋服とかポーチとか色々作ってプレゼントしたの。
それがきっかけでちょっとずつだったけど、また会話も増えていってね。