白い月~夜明け前のその空に~


中学卒業して、卒業祝いも兼ねて、もう一度みんなでプラネタリウム行く約束したんだ。

中学生にもなって、恥かしいって思われるかもしれなかったけど、全然気にしなかった。


家の中が暗闇だった中でずっと、そうなったらいいなって思ってたことだったから。


手作り作戦成功って感じで、「行こう」って話になったとき本当に嬉しかった。




もう一度、戻れるんだって…思って」



声を詰まらせると、彼女の瞳から一粒涙が零れ落ちた。


それに気づいた陸はそっと、彼女の顔を覗き、握っていた彼女の右手に、空いていたもう片方の自分の手を重ねる。




「……その三日後だった、火事に遭ったの。


もっと早く、言えばよかった……。

あの日、二人を連れ出してれば……、


もっと、もっと早く仲直りさせてればよかった…。




何にも無くなっちゃって、もう頭も心も、空っぽだった。


人って、こんなに涙出るんだってくらい毎日泣いた。






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