白い月~夜明け前のその空に~
一瞬戸惑いの色を見せた陸だが、すぐに理解した。
「…誓う。その代わりこれは、もうゆづ一人で抱える誓いなんかじゃないからな。だから、もうどこにも逃げたりなんか、一人になったりなんかしなくていい。一緒に、生きていこう」
そう言うと彼女を抱きすくめ、声を振り絞りながら囁く。
「大好きだ、ゆづ」
彼女の涙が零れ落ちる前に、陸は口付けた。
離れると、すかさず優月は言う。
「好き…、大好きだよ」
その後のキスは、彼女の涙が頬を伝い、二人の唇を濡らした。
どちらともなくベッドに横たわると、一緒に毛布にくるまった。
向かい合い、戯れに軽くキスを交わす。
彼女の額に頬に首筋に、陸はそっとキスを落としていく。
初めて知る、愛しい人から与えられる甘く火照る熱に、優月はただただ身を委ねた。
はだけた肩口がふいに外気に晒されひんやりし、思考までも熱に満たされる中、最初で最後、重ねあう体温は二度とは戻れない秘密の契りの証だという事実を、体の奥深くで実感するのだった。