白い月~夜明け前のその空に~



(……白い月。…そう言えば、あの時もこんな夜明け前で、月の色が白くて……それで…)



優月は雲一つない静寂な夜空に浮かぶ月を眺めながら、幼い日の事を思い出した。








子供の頃、陸と一緒に二人で眺めた夜空……。


一晩中眠れなくて、初めて夜を明かしてしまったあの日。




その日は、陸の両親が亡くなった日だった。





仕事の都合で両親は朝から出かけるため、陸一人優月の家に預けられていた。



帰宅途中での交通事故だった。




優月の両親と一緒に駆け付けた病院で、優月は陸が泣いたのを初めて見た。

陸はずっと泣いていた。


その隣で優月も一緒に泣いた。






夜になって優月は泣き疲れ、うとうとぼんやりした視界で、陸が窓を開け空を眺めている姿が映った。



不思議に思って、彼の側まで行ったのだ…。







  
< 439 / 465 >

この作品をシェア

pagetop