白い月~夜明け前のその空に~
「え?小柳?」
「じゃあ……一応聞いておくけど、私以外だったら、どう、だった?」
「う~~ん……」
彼女の質問に陸は腕組みをして顔をしかめる。
「もう、この場所も来なかったかもな。他の奴に知られたら、多分行き辛くなってたと思う。変な噂たてられたら嫌だし。小柳なら、真面目な?学級委員でいなくても、いいのかなって思ったからさ」
「そっかー。そうなんだ…ふふふ」
すると今度は両手で口元を覆うと笑った。
「おい、どうしたんだよ?何かおかしいこと言ったか?」
「ううん。嬉しいなって思って。よかった。ふふ」
陸は訳が分からなかったが、終始にこにこ可憐に微笑む彼女に、ついどうでもよくなってしまうのだった。
「そう言えば、小柳って進路は進学だったよな」
「うん。都内の女子大。また荒波が待ってそうだけどね、もう同じ過ち侵さないように頑張る。……本当の自分出せるように…」
呟くように零すも、陸の耳には確かにはっきりその声が届いていた。