白い月~夜明け前のその空に~





―――。.*゜――。.*゜―――



修了式、ホームルームを終え、優月は里乃らに声を掛け教室を出る。


すると、その後を追った長澤は下駄箱で彼女を呼び止めた。




「さーのちゃん、今日早くね?帰るの」


「…ああ、うん。家の人にお使い頼まれてるしね」


「そっかー。今日で1年最後だしさ、もっと一緒に居たかったなー」


壁にもたれながら視線を落としつつ、ちらりとうるんだ目で彼女を見る。



「…は?何?まじキモい」


ジロリと見返す。


「はい、いただきましたー。腹黒姫の毒ぜっ」


「ちょ、ちょちょちょっ!」


下駄箱の扉を開けようとしたのを辞め、慌てて彼の口を塞ごうととっさに飛び掛かる。



「……くっくっく、あははははは!すっげぇ勢い。いいね、その反応」


上手いこと彼女の行動をかわした長澤は、腹を抱えて笑った。


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