白い月~夜明け前のその空に~


墓前に辿り着くと、先に到着していたおばあちゃん達は、笑顔で優月達を待っていた。





線香を線香皿に置き、しゃがんで手を合わせる彼女の目には涙が滲んでいた。



その隣で同じように手を合わせ、目をぎゅうっとつむる瞬。

不思議に思い、優月は彼を覗き込む。



「どうしたの?瞬ちゃん」


「あいしゃつしたんだよ」


「なんて?」


「こんにちはって、しゅんですって。ここにゆぢゅのままとぱぱがおねんねしてるんだよね。おこしゃないようにいったの」



たどたどしくも、はっきり教える。



純真なその姿に、はたと我に返った優月はくすっと微笑むと、その瞳からは反して涙が零れていた。



「そっか、挨拶してくれたんだ。……ありがと。瞬ちゃん」


「それからね、よろしくおねがいちましゅっていったよ。……ゆぢゅう?どうちたの?どっかいたいの?」




泣き顔に気づいた瞬はとっさに優月にしがみつき、優月はそんな瞬を抱きしめた。




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