白い月~夜明け前のその空に~


「お疲れ様、優月ちゃん。どう?初お仕事は」


「緊張しましたぁ。注文…の間違い、本当にすみませんでした」


「なーに、いいのよ。誰だって失敗はするでしょ。気にすることないわ。相園君のいとこだからって、変に気負いすることもないわよ。確かに彼は生真面目ではあったし、よく気が利いて立派にこなしてくれていたけどね。あなたはあなたらしく、頑張ってちょうだい!ねっ」


「は、はい……。頑張ります」



一通りまくしたてたパートの女性、安藤さんは、さっさと更衣室へ向かっていった。

厳しくも聞こえる激励に、彼女が去っていくと、優月は息を吐きながらうな垂れる。



するとそこに唯一同年代である河野が、ひょこっとドアから顔を覗かせた。



「うっるさいよね、安藤さん。私も最初めちゃ言われたんだぁ。とろいだの、邪魔だのって、こんなのも出来ないの!みたいな。目が合えばすぐ文句言うの。ま、今も言われてるけどねぇ」


「そう、なんだ」





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