白い月~夜明け前のその空に~
舞台は幕を閉じた。
劇場内に明かりが灯る。
大人しくしていた子供達が眠そうな目を擦ったり、急いで親の元へ駆け寄る中、一番前で並んで観ていた男の子と女の子が、最後まで残って座っていた。
「ねぇねぇ、きょうってお月さま見えるかな?」
「見えるんじゃない?ぼく、きのう見たよ」
「わー!じゃあさ、いっしょに見よう!いっしょに見ようよ!」
「いいよー」
「ねぇ、お月さまってなに色かなぁ。リスさんとウサギさんが見たお月さま、見てみたいなあ。すっごくキレイなんだって」
「じゃあ、きょうの夜、たしかめてみよう!」
「うん!!」
男の子と女の子は手を繋ぎながら劇場を出た。
二人のその瞳は、澄んだ泉のように、無邪気に煌めいていた。