白い月~夜明け前のその空に~
「そっか」
優月は言葉にできない思いがこみ上げてくるのを、ぐっと堪えた。
「性格がずぼらなとこあるけど、俺は可愛いと思うよ、ゆづ。頑張れ。女子力磨きたかったらいつでも相談乗るしな」
「う、うん。ありがとう」
「じゃあ、おやすみ。ゆづも早く寝ろよ」
陸は優月の頭を軽くポンポンと触れると、居間を出ていった。
優月はへなへなと肩の力が抜けた。
一人になり、堪えていたものが胸に広がる。
陸が言った言葉にいちいちハラハラした。
ドキドキした。
『大事な存在…』
『俺は可愛いと思う…』
陸にそう思われていることは素直に嬉しいと思った。
だけど、それは全部兄的な立場で思うこと。