白い月~夜明け前のその空に~
眼差しの向こう…
いつも遠くを見る陸の眼差しは、ときどき色を感じさせない、無機質さを持つ。
それは彼自身の武器であり、全てを守るために自然に身についたものだった。
偏差値が中くらいの高校に通う陸は、1学年の時からトップの成績を貫いている。
もっと上の学校を目指すこともできたが、彼には進学する目的がなかった。
特別なメリットは必要ではなく、ただ入学した高校を卒業できればいい。
それだけだった。
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「相園、悪いが文化祭のクラスTシャツの申し込み書、今日中に作っておいてくれるか。うっかり言い忘れててなぁ」
「わかりました。放課後までには持ってきます」
社員並みの業務的な受け答えをする陸。
担任に頼まれたのは4時限目の前だった。